日本酒雑学 熟成古酒
通常日本酒は比較的短い熟成期間で出荷されるが、最近では貯蔵技術の発達や貯蔵方法の工夫により、意図的に長い期間貯蔵して、新酒の時にはなかった味わいを生み出そうとした日本酒が造られている。これが長期熟成酒と呼ばれるものである。
日本酒を長い期間貯蔵していると、火入れをした日本酒であっても少しずつ着色し山吹色、コハク色といった色調へと変化するこれは、貯蔵中に日本酒の中の糖分とアミノ酸が反応し、メラノイジンという着色物質が造られていくからである。また日本酒を長期熟成すると香りはカラメルやはちみつ、木の実やスパイスなどを感じさせる複雑な香りに代わっていく。味は口当たりが滑らかになっていくが、苦み成分の増加で貯蔵前とは異なり、味の複雑さやコクが生まれ、ボリューム感が広がるようになる。
純米酒のように味のしっかりした日本酒は、色が濃く、香味も複雑で力強いタイプの熟成貯蔵酒となる。また吟醸酒のように味が繊細で香りのある日本酒は低温で貯蔵されることが多く、色の淡い香味のおだやかな淡麗タイプの長期貯蔵酒になる。
古酒は新酒の対語で前の製造年度以前に作られた日本酒を呼ぶ。長期貯蔵酒のうち特に貯蔵期間の長いものは●年貯蔵酒や大古酒とも呼ばれ5年以上貯蔵した日本酒には秘蔵酒という名称がつけられることがある