日本酒雑学 滓引き
舟などによる搾りでは、醪は酒袋の編み目を通過しただけなのでまだ滓(でんぷん、不溶性タンパク質、酵母など)が混在して少し濁りがある。そこで貯蔵タンクなどの中で数日静置すると、おりが沈殿し、上の部分は澄んでくる。貯蔵タンクは一般的に、おりがたまりやすいような上げ底構造になっている。また呑み穴と言われる取り出し口が上下に二つあり、通常、滓に触れない口「上呑み」から酒を抽出する。このような作業を滓引きという。下の口「下呑み」から得た酒をブレンドしたものや、おり引きをせずにそのまま瓶詰めした酒はおりがらみ、おり酒と呼ばれる。おりがらみは細かい米の破片などを含む滓や炭酸ガス(二酸化炭素)を残し、うっすら白く濁っている。滓には旨味も香りもあるので、フレッシュ感と滓に含まれる独特の濃厚な風味を楽しめる