①精米中に砕けにくい
米の胚芽や表層部に多く含まれるたんぱく質や脂肪灰分などは、多すぎると雑菌や酵母の育成を急進させ、酒質のバランスをくずし、雑味や着色の原因となりやすい
食べるお米にはタンパク質などは旨味となるが酒造するうえでは雑味や着色の原因となってしまう
そのため、酒造米は食用の飯米よりも通常はるかに高精米される。精米の度合いは通常精米歩合で表現される
②米粒が大きい
とくに高精米を行う場合には、大粒米が有利。米粒の大きさは整粒1000個の合計重量千粒重で表され、おおよそ20~30グラムの間にある。一般的な飯米の玄米の千粒重が約20~22グラムなのに対し、雄町や山田錦、玉栄など多くの酒造米は大粒といわれる26グラム以上とはいえ、しばしば千粒重が26グラム未満の八反などからも良い酒が醸されている
③心白がある
心白は、米粒の中心部に見られる白色不透明な部分のこと。極めて小さいでんぷん粒が無秩序に集積し、相互の接合も緩いため、隙間が大きく、光が乱反射するため白濁して見える。この心白があるお米を心白米と呼ぶ
心白米は一般的に吸水性や醪での溶解性がよい
また柔らかく隙間のある心白部に麴菌の菌糸が入り込み、強い酵素力を持つ麹を作りやすいため、酒造的米として好まれる。また大粒心白米は吸水も早く、蒸すと粒の外側が硬く内側は柔らかい、いわゆる理想的な蒸米外硬内軟でさばけのよい蒸米になりやすい
④タンパク質が少ない
①で述べたように、たんぱく質が多すぎると製成酒のアミノ酸度が増して、雑味につながりやすいほか色や香味が劣化しやすくなる。大正時代にはよい酒米の要件に入っているからびっくりだ。
⑤軟質米である
軟質米は硬質米に比べ、精米にかかる時間が短いのに加え、一般的に洗米時の吸水が高く、酒母や醪中での消化性も良い